人間と自然の対立を静かに見守る存在
スタジオジブリの作品として、多くのファンを持つ映画が「もののけ姫」です。
テーマは「自然と人間の対立」、自分たちの豊かさのために森を切り開き自然破壊を続けるタタラ場の人間たちと森を守ろうとする神々、そしてサンという少女、そのどちらも理解しているアシタカという青年の関係性やストーリーは何年経っても印象に残っています。
ジブリの人気ランキングでも常に上位に位置するこの映画ですが、さまざまな登場人物やキャラたちのなかでも不思議な存在「コダマ」というものが印象的です。
サンが暮らす森には、森の主であり、自然の象徴でもあるシシ神という神がいます。そんなシシ神と同じく多くの人の記憶に残っているのが「コダマ」です。コダマとは一体どんな存在なのでしょうか。
白くて小さい、いびつだけれど美しい、不気味さと神秘のどちらも感じさせるのが「コダマ」というキャラクターなのですが、実はその正体はストーリーではほんの少ししか紹介されていません。
コダマという存在と正体とは?
もののけ姫に登場するコダマは、カタカナで「コダマ」と書かれることがよくあります。漢字では「木霊」と書くのですが、その存在はこの文字通りのもので「木に宿る精霊」だと言われています。
映画のモデルとなった屋久島では、自然界に存在するすべてのものには神の力が宿っており、それらを守っているという言い伝えがあるそうです。
また、日本では古くから樹々にはコダマと言われる精霊が宿り、その樹を守るのだとも言われているので、その伝説を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
尾久島周辺でも言い伝えはいくつもあり、特に有名なのは沖縄の「きじむなー」という精霊です。その樹々の精霊は樹や森を守り、太古の昔から人間と共生してきたとも言われるほど馴染みのある精霊だといいます。
小さな体の精霊は自然豊かな森にしかおらず、時には人間を導くこともあるそうです。もののけ姫に登場するコダマの正体は、この樹々に宿る精霊ということで間違いがないでしょう。
タタラバの人間とコダマの関係はどのようなものなのかというと、映画のなかで言われる「こいつらがシシ神を呼ぶんだ」というセリフからも、あまり良いものではないのがわかります。
不気味なコダマの存在は、自然の驚異そのもののようで、人間が持つ自然への畏怖のようにも感じます。しかし、アシタカは「好きにさせておけば悪さはしない、自然は豊かなしるしだ」と言うのです。
ピックアップ