どちらの「ミナミの帝王」も根本的な部分は同じです
「新・ミナミの帝王」の主演は千原ジュニア、前作シリーズの「ミナミの帝王」では竹内力が主演でした。
ドラマの基本的な設定は両者、共通しています。ダークヒーローである主人公「萬田銀次郎」が、持ち前の知識と経験を活かして、お金のトラブルに巻き込まれた弱者を救い、悪知恵を駆使する敵キャラを撃退する、というストーリー展開は同じです。
いわゆる水戸黄門式とも言われる、勧善懲悪なシナリオになっており、悲惨なシーンや腹立たしい描写をみせられつつも、主人公とその仲間の活躍により、最後の最後でカタルシスを味わえます。
弁護士ドラマ顔負けの法律的な知識が飛び交う描写、当時の時事ネタや経済的な事情を色濃く反映したシナリオ、ダークヒーローの主人公だからこそ実現できる斬新な解決策など、主演が変わってもドラマの根本的な要素は見事に共通しています。
主役「萬田銀次郎」の描かれ方に賛否両論
竹内力版の「萬田銀次郎」は非常に強面な人物です。竹内力だからこそ演じられる凄みのある表情、その場にいるだけで無言のプレッシャーを与えられる存在感があります。強面な合理主義者でありながらも困った弱者がいたら放っておけない、という人情味あふれる人物像が視聴者に大人気でした。
緻密な情報収集や法律的な知識を活かしたどんでん返しを狙う等、Vシネマ俳優の竹内力があえて暴力的な方法を使わず、あくまで知的な解決策を講じる、というギャップがありました。
竹内力はいわゆる若い世代の間でも知名度であり、前作シリーズのドラマもネット動画サービスで視聴できるため、若い世代の間でも「ミナミの帝王」の人気は健在です。
一方で千原ジュニア版の「萬田銀次郎」は、海千山千の金融業としての凄みや強面な雰囲気があるものの、どちらかというとインテリなビジネスパーソン風の描かれ方をしています。
前作の主人公と同じ人情味あふれる内面と徹底した合理主義は共通していますが、ポーカーフェイスな演技が多く見られたり、相手の追い込み方が暴力的であったり、悪党相手とはいえ詐欺的な手法で立ち向かう等、前作の主人公とはかなり対照的な部分があります。
あくまで好みの問題ではありますが、特に竹内力版の「萬田銀次郎」に思い入れがある視聴者からすると、新シリーズ版の主人公が受け入れられず、低い評価に繋がっています。
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