千と千尋の神隠しに登場するだるまとは?
千と千尋の神隠しという映画では、湯殿に様々な化け物が登場するほか、湯婆婆の屋敷にも奇怪な妖怪が現れます。中でも坊がいいキャラを演じていますが、3体のだるまがファンの目を引きました。
このだるまは頭(かしら)というネーミングで、いつもは「おいおい」と交互に低音で叫びながら転がり回っているだけですが、時には魔法によって他のものに変身し、映画のストーリーにインパクトを甘えている貴重な存在です。
だるまの存在は、ファンの間でも話題になっており、その起源や意味について議論がありました。
舞首ではないかという説
3つの生首が登場する物語として、江戸時代の奇談集「絵本百物語」が話題になりました。
この物語では、鎌倉時代中期の寛元年間に、小三太・又重・悪五郎という3人の武士が、伊豆の真鶴の祭で酒をあおり、酔った勢いで喧嘩を始めます。
荒くれが幅を利かす当時のことですから、口喧嘩があっという間に刀を交える果たし合いに発展してしまいました。
まず、最も剛腕の五郎が小三太を仕留め、次に又重を狙いますが、形勢不利と見た又重は山中へ逃走したのです。
五郎は小三太の首を切り落としてから、又重を追って山中に入りました。五郎に発見された又重は仕方なく応戦したものの、力量の差は如何ともし難く斬り殺されそうになります。
ところが、もはやこれまでと又重が観念しかけたところで、五郎が石につまづいて転倒したため、その隙を見逃さず又重が五郎に斬りかかりました。剛腕を誇る五郎は重傷を負いながらも反撃し、2人はもつれ合っているうちに、山から転げて海に転落します。
海中でも刀を手から離さず斬り合いを続けた2人は、お互い同時に相手の首を切り落としたのでした。足場のない海中で相手の首を切り落とすのは大変な作業ですが、物語はこれだけで終わりません。
さらに、2人の首は切られた後も噛み付き合いの喧嘩を続けたのです。首だけになると、さすがの五郎も剣術の腕を発揮できません。
又重が有利な戦いを進め、五郎にとどめを刺そうとした時に小三太の首も争いに参加し、三つ巴の戦いは延々と夜まで続けられたのでした。
夜中になると、3つの首は火を吹きながら宙空を舞い、海上に煌々と光る首が乱舞する光景が見られたのです。そのまま夜が明けても戦いが終わらず、昼間は巴状の波が収まりませんでした。
これが舞首の由来です。3人の武士が死闘を繰り広げた末の怨霊をイメージして、3つのだるまというキャラが作られたのではないかと推測されているのです。
ピックアップ