江戸時代を舞台にしたミステリーマンガ
『当て屋の椿』は白泉社が発行するマンガ雑誌『ヤングアニマル』で連載されていました。
江戸時代を舞台に、人や物を問わず亡くしたものを探す「当て屋」を営む女性が様々な事件に遭遇する話です。江戸時代を舞台にした時代劇マンガは少なくありませんが、そこに推理要素を取り入れた点が高く評価されました。
当時の文化や風俗を詳しく描写し、時代ならではの理不尽な展開も上手に構築されています。一方で青年誌に連載されていたこともあり、性的な描写や残酷な描写も少なくありません。
人気マンガなのに打ち切りのような終わり方をする
当て屋の椿は2020年の時点で単行本が16巻も出ている人気マンガでしたが、その終わり方は唐突でいくつかの伏線はそのまま放置されていました。
連載中の人気が高かったにも関わらず、急に話が終わったのは圧力による打ち切りではないかと噂されました。
当て屋の椿は話の性質上、殺人事件などを題材にすることが多く、その描写は残酷なものが少なくありません。
また、性交の描写も多く、俗にエログロと呼ばれるジャンルに組み込まれていたのも事実です。そのため、有害図書として批判されたこともありました。
そのような経緯から出版社が外部からの圧力に屈し、マンガを打ち切りにしたという噂が流れたのです。
さらに打ち切りの真相について見ていきましょう!
打ち切りの真相について
人気マンガが外部からの圧力によって打ち切りになったケースはありますが、『当て屋の椿』に関して言えばそのような事実はありません。
話の途中で唐突に終わったのは外部からの圧力ではなく、出版社側の自粛によるものでした。エログロ描写が多いことに加え、特定の病気に対する差別的な描写が問題視されたのです。
しかし、エログロ描写については青年誌という媒体の中では決して過激な部類ではなく、差別的な描写についても作者の意図ではなく、江戸時代の一般的な価値観や考え方を再現したものです。
話の本筋である難事件を解決する展開についても矛盾やご都合主義な点が存在せず、良質な読み物として評価されています。 それにも関わらず、自粛に基づいて連載を終了させた出版社の姿勢に対しては非難の声が上がりました。
人気の有無に関わらず、圧力や自主規制によってマンガの連載が途中で終わってしまうことがあり、『当て屋の椿』の終了はその典型的な例と言えます。
ピックアップ