村の衝撃的な風習を描いた話題作
「花園メリーゴーランド」は2001年1月に単行本1巻が発行され、2003年1月に5巻が出て完結しました。
ショッキングな内容がネット上で語り継がれており、今でも根強い人気がある青年漫画です。ここからは、あらすじのネタバレになります。注意してください。
中学三年の春休みに、基一はバスに乗って一人旅をします。ところが、道に迷ってしまい、見知らぬ村に辿り着きます。身を寄せた民宿には、澄子という名の中学生がいました。二人ともザ・ブルーハーツの音楽が大好きで、意気投合します。
やがて、基一は村の奇妙な風習に気づきました。村では性に対する観念が大らかで、日常的に夜這いが行われていました。
基一は村を脱出しようとしますが、ことごとく妨害されます。
ノンフィクション風の切ないラスト
本作品は、おどろおどろしい村の風習と柏木ハルコの画風がぴったり一致しています。そのために、ホラーの要素が強くなり、大勢の読者が「基一が逃げられるかどうか」ハラハラしながら見守りました。
村の女たちに追いかけられるシーンは、とてもスリリングです。最終的に、基一は救われます。
友人のハルコが助けに来てくれて、無事に村から脱出できました。けれど、気がかりだったのは澄子の存在です。互いに惹かれ合い、体の関係を持ったからです。
最終回で、基一は再び村を訪れます。同行したのは、漫画家・柏木ハルコになった友人です。村で、基一は澄子と再会しました。三人の子を持つ母親になっていましたが、長男は基一の子でした。
切ないラストに、たくさんの読者が感動して涙を流しました。また、ラスト付近で作者自身が登場するので、「実話ではないか」とネット上で話題になりました。
実際に、昭和初期まで夜這いの風習が残る地域は実在していました。
ノンフィクション風の結末に、ミステリーの要素が漂っています。
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