ほぼ全編に渡って戦争の悲惨さが印象に残る、はだしのゲン
悲惨な戦争アニメと聞いて、まず間違いなく上位にランキングされるであろう作品が「はだしのゲン」です。昭和の頃には学校の図書館にマンガを置いている学校も少なくありませんでした。
そんなはだしのゲンは1983年にアニメ映画化されます。原爆投下前後を話の中心にしている事もあり、最初から最後まで悲惨なシーンで埋め尽くされています。
特に原爆投下のシーンはスローモーションで、長い時間をかけてじっくり丁寧に描写されており、原爆の恐ろしさが嫌という程、伝わってきます。作者の中沢啓治さんの実体験に基づいているため、説得力が違います。
原爆投下後の広島市の様子も丁寧に描写されており、特に遺体を片付けるシーンや、街中にハエがはびこるシーンは、実際に経験した人でなければ描写できないものだと言えます。
かなり重厚な映画ですが、ラストは原爆で家族を失ったゲンが弟に生き写しの隆太と出会い、共に逞しく生きていこうと決意するシーンで幕を閉じます。隆太の存在がこの映画の救いとなっていると言えるでしょう。
戦争孤児のリアルを描いた、火垂るの墓
1988年に公開された「火垂るの墓」も歴史に残る戦争アニメの1つです。この作品では、戦争孤児の視点で見た戦争が語られています。
物語の前半で主人公の母が空襲で大火傷を負い絶命しますが、主人公が救護所で母親を見つけるシーンや、亡くなった後の遺体の扱われ方など、かなり悲惨です。
人の死を直接的に表現したシーンは、はだしのゲンほど多くはありませんが、この映画では、孤児となった主人公兄弟の悲惨さが濃厚に描かれています。
なかでも親戚の家をでて、2人暮らしをするはめになった兄弟が飢えに苦しみ、飢餓状態に陥るシーンは壮絶で、妹の節子が栄養失調になり心身ともに追い詰められていく様はとてもインパクトがあります。
戦争では兵士だけでなく、一般市民、特に子供などの弱い立場の人間が酷い目に逢うという事を教えてくれる映画です。
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