「少年の日の思い出」について
「少年の日の思い出」は、中学校の国語の教科書に掲載されています。そのために、日本では知名度が高い外国文学です。短編小説なので、短時間で読み終えることができます。
ヘルマン・ヘッセの作品を日本に紹介した高橋健二は、名翻訳者として有名です。邦題「少年の日の思い出」とつけたのも高橋健二です。
ここから、作品のあらすじを紹介します。ご注意ください。
本作品の主人公は、かつて蝶を集めることに夢中でした。けれど、家が貧しいために、立派な標本箱を買ってもらうことができませんでした。
近所に住む教師の息子・エーミールも、蝶を採集しています。しかし、主人公の粗末な標本箱を見て、蔑む言動をしたこともありました。
そんなある日、エーミールがクジャクヤママユを入手したことを聞いて、主人公は動揺しました。なぜなら、その珍しいクジャクヤママユを主人公も欲しがっていたからです。
主人公はこっそりエーミールの部屋に忍び込み、クジャクヤママユを眺めました。ところが、不注意から傷つけてしまいます。逃げ出した主人公は、母親に付き添われて訪れました。
謝罪する主人公に、エーミールの態度は冷淡でした。
エーミールの印象的な言葉
うなだれて謝罪する主人公に、エーミールは冷たく言い放ちます。「そうか。そうか、つまり君はそんなやつなんだな」それは、侮蔑を表す言葉でした。
主人公は償いを申し出ましたが、エーミールは受け取りません。「君の粗末な収集物などいらない」と言って。罪を犯し、エーミールに軽蔑された恥ずかしさに、主人公はいたたまれない気持ちになりました。
以来、二度と主人公が蝶を採集することはありませんでした。振り返れば苦い気持ちが蘇る少年時代の思い出です。
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